2023年8月7日に、ユーコープ桜台店にて「夏休みお買い物体験講座」を開催しました。
この講座は、自立支援協議会・地域とのつながりプロジェクトの一環で実施しており、ニコニコインの開発元である「ユメソダテ」さんと共催で実施しました。
「一人でお買い物ができるようになりたい!」
「お買い物に行くと小銭がいっぱいになってしまい困る!」
「ICカードで済ませていて、金銭感覚が身につかない」
という主に知的障害の方を対象にした講座です。
当日は、定員20組のところ14組の方にご参加いただきました。下は小学生の方から、成人の方まで、幅広い年齢層の参加がありました。

魔法のコインケース「ニコニコイン」を使ってみよう!

まずは、コインケース「ニコニコイン」に硬貨を入れてみよう!

逆さにしても落ちないその不思議な仕様にみなさんびっくり!
支払っている最中に「財布から小銭が全部落ちちゃった〜!」とパニックになることもありません。

いよいよ、ホワイトボードを使って3桁の支払いの練習。
最初は、桁ごとに並んでいる硬貨の枚数を数え、その数字を書き込んでいきます。
そして、3桁とも書き終えたら、値段を読み上げ、読み方を覚えます。まずは3以下の数字をならべ、慣れてきたら5までの数に増やし、と少しずつレベルアップさせていきます。
慣れてきたら5以上の数や「0」を入れ、「硬貨の枚数から値段を記入していたのを」今度は反対に「値段にあわせて硬貨の枚数を数えながら出していく」という練習を繰り返します。
この練習に慣れてきたら、ニコニコインでお買い物ができるようになります。
さあ、お買い物へ行ってみよう!

頼まれたごま油が、たくさんの種類があって、どれを買って良いのか分からなかったり、ブロッコリが包装されていない状態で並べられていて、専用のビニールをとって入れることが分からなかったり、支払い以外でも買い物の難しさっていろいろあるな〜と一緒に回っていて思いました。

いよいよ支払いです!
店長さんの計らいで、参加者専用レーンを設けていただくことができました。おかげでゆっくり、慌てず、自分のペースで支払いができました。
そして、ホワイトボードもレジにおいて、練習でやったのと同じように支払いました。今までの練習と実際のお買い物の支払いがつながった瞬間です。「ホワイトボードで練習した意味ってこれだったのね!」って皆さん合点していました。
参加者の感想・声

苦手なことをやって疲れていないかな、と心配がありましたが、参加者のみなさん、終わった後はみなさん楽し気で、満足された様子でした。やっぱり新しいことを体験して少しでも「できた!」と思えると、楽しくなりますよね。これからもそんな経験が少しずつ積みあがるといいなと思いました。
●計算が苦手でも金銭感覚が身につけられる機会がたくさんあれば。
参加した方の多く親御さんがお話ししていたことの一つに「何が分かって何が分からないのか、今回ホワイトボードの練習をしてみて良く分かった」という感想でした。
講師の升岡さんは「とある方の母が『うちの子どもは買い物ができる』というのですが、よくよく一緒に過ごしてみると、手持ちのお金をあるだけ自販機に投入してボタンを押しているだけで、お金の概念は全く理解していない」ということがあったようです。ICカードで普段買い物をしている方が、すぐに使い切ってしまって「チャージして!」とひっきりなしに要求してくるようなことも同様です。
今回、この講座を開催したのも、成人になって自立されるときに、計算はできなくても、現金による買い物経験を積み重ねることで、金額を量として体感的に理解できるようになり、金銭感覚はある程度身につけられるのではないだろうかと考えたからに他なりません。始める時期が早ければ、身につけるためにかけられる時間がそれだけ長く取れますので、今回のように小学生や中学生の方にも参加いただけたのは大変意義のある機会だったと考えています。
お買い物ができればそれでいいじゃないかとお考えの方もいるかもしれませんが、自分には何が買えて、何が買えないのか、どれだけ買えるのかを、少しでも考えられるようになることは、自身の財産を守ったり、本当に欲しいもの(本当は必要ないモノ)は何かを考えることにもつながる大事なことだと私たちは考えます。将来親御さんの存在がなくなったときにご自身が意思表示をするための前提としてこうした経験が活きてくるのです。
●「ゆっくりなペース」が必要な方は世の中にいるはず。
もう一つ、感想として聴かれたのは「今回のようにゆっくり支払える機会が増えれば、練習を重ねてちゃんと支払えるようになると思うので、そういうお店が増えてほしい」という要望でした。
今回参加した成人の方でも、ホワイトボードでの練習はバッチリなのに、支払い場面になるとプレッシャーがかかってしまい、自信がなくなってしまうという方がいらっしゃいました。周りの方のことを気にされて「迷惑になるから」と遠慮されている方も意外にいるのかもしれません。
人口が多い青葉区で、今回のような「ゆっくりレーン」がどれだけ実践できるのかは未知数ですが、あおばエール協力店のみなさんにもご協力いただき、どうしたら実行できるようになるか、検討を重ねていきたいと思いました。
今回の講座開催にあたり、ご協力いただいた、ユーコープ桜台店の榛葉店長、NPO法人ユメソダテの升岡さん、天田さん、上野さん、本当にありがとうございました。